任意整理は何回までできるか
1 任意整理ができる回数に制限はありません
結論から申し上げますと、あくまでも理論上のことではありますが、個別の債務(貸金業者等1社からの借入れ)に対する任意整理は何回でも行うことができます。
任意整理ができる回数が法律で制限されていることはありませんし、任意整理をしてから一定期間は任意整理ができないという制限もありません。
しかし、実務上は、ひとつの貸金業者等に対して任意整理ができるのは基本的に1回か、多くても2回であると考えられます。
以下、任意整理の仕組みと複数回の任意整理が困難である理由、および2回目以降の任意整理ができない場合の対応について説明します。
2 任意整理の仕組み
任意整理は、貸金業者等と個別に直接交渉し、返済金額や返済回数等の返済条件を改めて合意したうえで、その合意内容に従って返済していくという債務整理の手法です。
一般的には、残債務の元金と遅延損害金の合計額を36~60回に分割して毎月返済していきます。
将来利息がカットされることから、返済しても元金がなかなか減っていかないということがなくなります。
しかし、これは貸金業者等側から見ると、利息の支払いを受けられなくなったということになります。
3 複数回の任意整理が困難である理由
任意整理をすると、任意整理前と比べて、債務者の方としては有利な条件での返済ができるようになります。
一方、貸金業者等側からすれば、利息の支払いを受けられなくなり、回収までの期間も長くなりますので、不利益が生じます。
また、一度任意整理をしたにもかかわらず、再度支払いが困難になったとなると信用も失います。
そのため、再度の任意整理には応じないと判断される傾向にあります。
例外として、1度目の任意整理後に順調に支払っていたものの、一時的な収入減少等によって滞納が発生し、期限の利益を失うことで一括請求がなされてしまったという場合、収入が増え、従前通りの支払いが可能であることを示すことで、再度任意整理ができる可能性はあります。
4 2回目以降の任意整理ができない場合の対応
返済が困難になってしまったものの、2回目以降の任意整理ができない場合には、個人再生や自己破産など他の債務整理の手段を検討する必要があります。